青少年のスポーツ障害とその対策〜3

さて、これで図らずも3部作となってしまった青少年のスポーツ傷害についてが終わりとなります。

○筋・軟部組織のスティッフネス(硬さ)の不十分さ

筋肉や関節は柔らかければいいというわけではありません。むしろ、過剰な柔軟性・不安定性が問題となることが多くあります。特に女の子に多いですかね。関節に負荷がかかると、関節の受動的構造(靭帯・関節包など)が十分な安定性を提供します。しかし、スポーツ活動中はそれらの受動的構造の安定化能力を超えた力が働き、関節を安定させるために「筋」が働くようになります。この機能が非常に重要となります。つまり、捻挫を例にすると

グネル👉
受動的構造物が対応👉
それを超える負荷👉
受動的構造物からSOSが出て、筋肉が素早く収縮することで関節を安定化👉
捻挫しないで済む

というわけです。しかし、これが硬すぎると衝撃吸収が不十分となり、骨傷害に結びついてしまう場合もあります。バランスが大切ですね。

▶︎対策

ストレッチなども大切ですが、プライオメトリックスやアジリティのトレーニングが重要です。いざ関節にずれる負荷がかかった時に、筋腱複合体が反応し、そこで衝撃吸収・力の発揮をするように普段からトレーニングを積む必要があります。

○固有感覚の変化

固有感覚系は感覚運動系の一部で、機能的な関節安定性を保持する間の感覚運動制御を統合するパイプの役割を果たします。自分の関節がどういう位置にあって、どんな向きをしているのか・・・ということをしっかりと認識できていないと、いい状態で接地することは難しいですよね。レベルの高い体操選手は、空中でも自分の向きや姿勢を俯瞰しているように見えるようです。それは固有感覚が我々以上に働いているからできることで、それができないとあんなにぐるぐる回ったりひねったりして着地を決めるなんてことは難しいでしょう

▶︎対策

この固有感覚のトレーニングは、かなり重要で、現在「神経筋トレーニング」などとして話題となってきています。「武井壮」さんのお話で感動したのが、

小学生の時に、ホームランを打った次の打席で同じ感触で打ったのに凡打だった。それが納得いかなかった・・・

という後の行動です。普通は、やって素振りの練習などでしょう。武井さんは、「自分の手を動かす感覚を疑い」、身体を自在に動かす練習をしたとのことです。すごくないですか?小学生ですよ!!

ま、そのように、自由に、寸分の狂いもなく思った通りの動きができるようにすれば、バランスを崩してからの立ち直りや、空中で吹き飛ばされてからの着地動作など造作もないことでしょう

○フォワードメカニズム

フィードフォワード(予備活性)と言われる、恒常性(ホメオスタシス)の破綻を感覚的に検出する前の予測的活動のことです。つまり、筋肉の予備活性により潜在的に有害な負荷から関節構造を保護する機能のことです。つまり、着地や減速、カッティング時など、負荷・衝撃の強い動作をする前にそれを予測する筋の反応です。

階段を下っている時に、もう終わりだと思っていたらもう一段あった場合など、「ガツン」という衝撃が腰まできますよね?それが予測できていない予備活性がなされていない状態です。通常でしたら、下肢の筋肉の衝撃吸収機能でスムーズに降りられます。

▶︎対策

経験を積みましょう


さて、最後はダッシュな展開になった気がしないでもないですが、ようやく終わりました。スポーツ傷害の原因は、人それぞれですし、プレーにより様々です。また、その時の集中力や体調によっても様々です。原因を決めつけず、色々な要素から多角的に傷害予防ができればいいですね。

 

青少年のスポーツ傷害の原因と対策〜その2

長々とすいません・・・
サクサクいきましょう。

さて、青少年アスリートにおけるスポーツ障害の原因とその対策ですね。
前回は筋疲労、試合終盤や疲労時の対策について書きました。今回はそれ以外です・・・(終わるかなぁ)


*筋の活性化のタイミングと大きさの変化の中に、いろいろと含まれます

○腓骨筋の反応時間の遅れ

「腓骨筋」と言われてもよく分からないと思います。腓骨筋とは脚の外側についている筋肉で、膝の下くらいから外くるぶしを通って、足の裏へつきます。反対側にある「後脛骨筋」と一緒に働き、足の横アーチを作っている重要な筋肉です。「腓骨筋」の反応の低下は足関節の機能的な不安定性と相関していることがわかっていて、靭帯損傷(足関節捻挫)のリスクを高めると考えられています。

対策▶︎

足関節のズレを素早く感知し、対応していく練習が必要になります。そのため、不安定板での練習や、ジャンプ動作など動的な不安定性を作っての安定化練習が重要になります。

○膝周囲の筋肉のアンバランス

膝は「曲げ」「伸ばし」の動きができることはよく知られています。そして少し身体に詳しい人は「捻り」の動きも出ることを知っていると思います。大まかに・・・膝を伸ばす筋肉は4つに分かれていて、曲げる筋肉も4つに分かれています。ですので、内側の筋肉・外側の筋肉と活性化がアンバランスになることで捻りに加えて、内外反の潰れが生じてしまいます(膝が内側へ曲がったり、外側へ曲がったりすること)。要は「悪い癖」が「動いてはいけない方向への動き」を作りやすくしてしまうということ(制動できなくなってしまう)です。

対策▶︎

筋肉のアンバランスといっても、専門家でもない限り、バランスがいいか悪いかはよく分からないと思います。まず間違い無いのは、満遍なくトレーニングをしておくことです。内側ハムストリングス・外側ハムストリングスのそれぞれのトレーニングは少しググればすぐ出てきます。それを応用し、前面も内側広筋・外側広筋をそれぞれトレーニングし、バランスを改善していきましょう。

○主働筋と拮抗筋の同時活性化の減少

主働筋というのは、例えばグッと踏ん張る時に膝が崩れないように支える膝の前面の筋肉です。そして拮抗筋というのは、その反対の膝の後ろの筋肉です。この「同時活性化」というのは非常に大切で、実際に踏ん張る時には、主働筋と拮抗筋が両方同時に働くことで「関節の安定化」が図れます。そのバランスが崩れることで、踏ん張っていても関節のズレが生じてしまうのです。

対策▶︎

これもいまいちよく分からない話だと思います。が、踏ん張った状態で負荷を強くしていくと崩れる(力の伝わりがズレてくる)のはわかると思います。つまり、そこまで持っていかなければ、上手にコントロールできているということです。そのため、コントロールできるギリギリのところでのトレーニングを繰り返し行い、バランスがいい状態で絶対的な反応を高めていきましょう。

臀筋の活性低下

臀筋の活性化の低下は膝の靭帯断裂や膝蓋大腿疼痛症候群のリスク因子とされています。そして、女性における非接触性の前十字靭帯損傷の最も重要な要因とされています。臀筋は大腿骨を後ろへ引っ張る筋肉なので、体重がかかった姿勢では、膝の上の骨(大腿骨)を膝の下の骨(脛骨)へぐいっと押し付けて安定させる機能があります。それが活性低下されることで、膝関節の不安定性を生み出してしまうというわけです。

対策▶︎

単純に臀部の筋力を強化しましょう。臀筋は弱くて悪いということはまずありません。ただ、トレーニングを腰で代償してしまうことがないように、腰部は反らないようにしながらトレーニングしましょう。また、「股関節外旋筋」のトレーニングを入れていくことで、効率は非常に高くなります。

○体幹の安定性と筋の活性化の不足

身体のコア(脊柱〜骨盤〜股関節)の感覚運動系の弱点が下肢の傷害増加と関連づけられています。単純に体幹部がコントロールされていないと、大きなテコとなって、膝へ負担が生じてきます。体幹部をしっかりとコントロールし、活性化をして反応性を高めていくことで重心のコントロールが可能となり、膝への負荷を減らすことができます。

対策▶︎

身体は姿勢のコントロールが非常に重要です。姿勢が制御できて入れば、下肢で制御しなければならない量が減りますが、姿勢制御ができていないと、それが単純に重りなりますので、下肢での制御が困難になります。
例えていうなら、

しっかりつかまってくれている赤ちゃんを抱っこしながら家事をするのと、暴れている赤ちゃんを抱っこしながら家事をする・・・でしょうか

重心のコントロールが難しくなってしまわないように、体幹をしっかり制御しましょう。
下肢の影響をなくせるよう、体幹のトレーニングは座った姿勢や、膝立ちの姿勢でバランス練習をすると良いでしょう。


これは・・・終わっていないです。
単純にボリュームが多いですね・・・

次回は筋力や感覚のお話です。
前回ざっと挙げた数を減らしてお話しします。

青少年のスポーツ傷害の原因と対策

さて、神経筋の障害リスク因子として色々あげました。

・・・いろいろ・・・

ちょっと多すぎますが、それだけ怪我しやすいんですね。

それに加えて、精神的に安定していませんから、中高生は・・・

余談ですが、小学生はというと、骨自体がまだまだ成長段階であり、身体もそれほど出来上がっていないので、身体にかかる負担がまだ小さくすみます。ですので、それほどスポーツ傷害も多くはありません。


【傷害リスク因子と対策】

○筋疲労

筋疲労とは、筋力とパワーの最大発揮能力が徐々に低下することと定義できます。つまり、試合の終盤などで起こる状態です。終盤に差し掛かると、協調性低下・固有感覚の変化・可動域の減少・バイオメカニクスの変化・床反力の増加・筋の反応遅延・集中力の低下・・・などにより傷害に対するリスクが上がります。成人に比べ、子供の方が急性疲労に対する抵抗力があることがわかっており、青少年でも男性はそのようです。しかし、「女性」は成人と変わらず急性疲労に対する抵抗力が高くないので、使えれた状態での神経筋のコントロールが十分に発揮できない。

▶︎対策:

単純に疲労状態でのトレーニングを行うことは有効です。よく、

「疲れてきてからの最後のダッシュが大切」と言いますが、疲労時にしっかり意識的に動いておくことで、試合でもできるようになります。

また、最大筋力や筋持久力のトレーニングを行い、単純に「疲労しづらい身体」を作っておくことも重要でしょう。

忘れがちですが・・・

プロに比べ(当然かもしれませんが)コンディショニングが不十分な青少年が非常に多くいます。確かに、学校生活や友人との関係・家族との関係など、いろいろと頭を悩ませることが多いことも事実です。食事・睡眠などすべての面において気を使えとは言いませんが、

「自分がリラックスできている状態」

でゲームに臨むことは非常に大切です。

「力が入っている状態」では車の運転やゲームのコントローラーの操作はうまくいきませんよね?身体の操作も同様です。しっかり身体感覚を受け取り、動かせる精神状態で挑みましょう。


すいません・・・また長くなり終わりませんでした・・・

子供の怪我の原因・リスクとは?

子供の多くは怪我をするものです。特にスポーツをやっている人は・・・

最近では「成長痛」だからしょうがない・・・という言われ方をしなくなり、だいぶ骨端線障害や骨軟骨障害についての知識も広まってきていると思います。

しかし、青少年の障害の多く(30~50%)はスポーツの参加よるオーバーユースだと言われています。(ちなみに障害に最も多いのは交通事故)


【青少年の特徴】

思春期であると、骨の成長に対し、対応する神経-筋の十分な適応が伴わないことが多く、そのアンバランスがスポーツ活動中の異常なメカニクスを生じさせる可能性が高いと言われています。骨端線障害などのかつて成長痛と呼ばれていた障害からもわかるように、

「骨の成長>>>筋の成長>>神経の成長」

となります。

神経-筋コントロールとなると、感覚運動系による求心性神経が適切に機能していることに大きく依存するため、成長途中の青少年にはどうしても苦手となってしまいます。

では、障害リスク因子としてはどういったものがあるのでしょうか?


【青少年における神経筋の傷害リスク因子】

スポーツ活動中は、様々な情報を取り入れながら、自分の身体を活動させる必要があります。さらに、コンタクトスポーツであると、予期していない外力に対しても反応しなくてはならなくなるため、さらに上手に身体をコントロールするということはさらに困難となります。たくさんありますが、リスク因子としては、

  • 筋疲労
  • 筋の活性化のタイミングと大きさの変化
  • 足関節周囲筋の反応時間の遅れ
  • 膝周囲筋の前後・左右の活性化のアンバランス
  • 主働筋と拮抗筋の同時活性化の減少
  • 臀筋の活性低下
  • 体幹の安定性と筋の活性化の不足
  • 筋力不足
  • 左右方向における膝のコントロール性不良
  • 下肢の神経筋の左右差によるアンバランス
  • 不十分な筋の硬さ
  • 姿勢安定性の不足
  • 固有感覚の変化
  • フォードフォワードメカニズム

などなど・・・数々の要因があり、それらがさらに関連しあって、訳が分からなくなっています・・・


ちょっと長くなってしまったので、次回にそれぞれについて簡単に説明させていただきます。