「がん」とは

現在、日本人の死因の第一位となっているのは「がん」です。
2013年度の統計ですが、年間364,872人死亡しており、全体のなんと28.8%と1/4以上もの割合となっています。
しかも、医療技術の発達により、その中でも「治癒」している人も多くなってきておりますので、かなりの人が「がん」にかかると言っていいでしょう。

なんとなく、」高齢になればなるほどがんにかかりやすいというイメージがあるかと思いますが、その通りです。
女性はなだらかにがんの発症率が上昇していきますが、男性は60代以降から急激に増えます。しかし、前述したように治療技術が向上していますので、現在では10年生存率は58.2%となっています。


「がん」というものは難しく、
「研究すればするほど、わからないことが増えるもの」と言われています。*立花隆 日本がん治療学会招請講演(2009)


「がん」は徐々に進行していく病気として知られています。
「国立がん研究センター」では

*国立がん研究センターのホームページより抜粋

と紹介しており、
「転移・浸潤」まで行ってしまうと、延命はできるが、治癒は難しいという状態となってしまいます。

では、なぜ「がん」で死亡してしまうのでしょうか?


「がん」にまつわる死亡は、治療中によるものとして

  • 外科手術による死亡
  • 放射線療法の有害事象による死亡
  • 抗がん剤治療の有害事象による死亡
  • 二次性の障害(代表例は廃用症候群)による死亡

などが上げられます。これらは治療による死亡です。
「がん」そのものの影響によるものは、

「消耗死」
:がん細胞はエネルギー消費が大きく、筋肉内のATPを大量に消費します。そのため、正常細胞に必要なエネルギーが足りなくなります

「重要臓器の機能低下による死亡」
:がん細胞が正常細胞に取って代わるため

「麻痺・阻血・窒息」
:腫瘍により神経・血管・気管などを押しつぶし、交通を遮断するため

「失血死」
:腫瘍の崩壊による大出血(腫瘍は栄養血管が多いが、構造的に弱い

「感染症による死亡」
:がん細胞から産生されるサイトカインの働きでの免疫力低下

これらのような「実際の死亡・身体的死亡」だけでなく、

心理的死亡:絶望・意気消沈

社会的死亡:関係性の喪失・見捨てられた感

スピリチュアルな死亡:生きがいの喪失・生きる意味のなさ

など、「死んだように生きている状態」となってしまうこともあります。


まずは「がん」というものをしっかり知った上で、
今後のことを考えるということが重要です。

次にがんによる症状と痛み、治療法について書いていきます

テンセグリティ

テンセグリティ構造とは、建築界から生まれたもので、

  • 共通の柱や壁のような連続的圧縮力に頼らずに、主に構造全体に織り込まれた連続的張力のバランスにより統合性が維持されている状態。 と言われています

ポイントとして

    ・外からの支持がなくても自立保持できている
    ・張力と圧縮力が絶妙なバランスを保っている

・中心がどこにもなく、全ても棒が交わらない構造 です。

 

「支柱」とかではなく、すべての構造全体で支えているという状態です。

で、それは人体の構造も同様です

そのため、
「力は局在するのではなく分散される」

「安定性は低いが、弾性は大きい」

という特徴が見られます。

例えば、ジャンプしようとしてしゃがみこんだとしましょう。
この時、足裏だけに力がグッとかかるのではなく、身体の後面全体に弾性エネルギーが分散され、溜められます。それを一気に放出すると大きなジャンプが可能となります。
この時に、顎を上げた状態でしゃがみこむと、頭からは身体後面が縮む圧縮力となり、全体が伸びる刺激ではなくなります。
顎を引いた状態と顎を上げた状態でジャンプすると、顎を引いた状態からの方が高く飛ぶことができます。

普段の動作では、

  • 地球に引っ張られる力
  • 地面から受ける反力

がかかっています。

これらを全体的に吸収できているか?特定の場所に負担が集中しているか?
ということは傷害を受けるリスクが異なります。


      人体はテンセグリティ構造ですが、「脊柱」という柱が中心に立っています。

 

また、「股関節」を支えにして左右それぞれ利用している人もいます。そのためそれらの構造物に頼りすぎてしまうと、脊柱・股関節の柔軟性を失ってしまいます。

    身体の使い方を
    「構造的に頼るのか?」
    「全身の筋膜を利用するのか?」
    で負担のかかり方は違いますので、柔軟で吸収できる身体を作っていけるようにしましょう。

筋膜の機能

さて、筋膜は可逆性があり、全力で衝撃吸収をしてくれます。
しかし、それには限度もあります。

イメージでわかりやすいのが、スーパーやコンビニの袋です。
引っ張るとビヨーと伸びます。(筋膜だとここまでだと元に戻ります。)
しかし、強く勢いよく引っ張ると切れてしまいます。
さしもの筋膜も切れてしまうと損傷してしまいます。
そうなる前にリリースし、リセットしたいものです。


その筋膜が牽引刺激(引っ張られるような刺激)を感じ、または、圧縮刺激(潰されるような刺激)を感じ、全身に伝わるのはなんと神経系の3倍の早さと言います。
また、「遅い知覚」にも作用し、持続的な刺激に対して、はるかに遅いスピード、数日からなんと数年かけて全身に広がっていくということもあるようです。

膝の怪我をしてから数年経ってから、足首が痛くなる、場合によっては反対側の肩が上がらなくなるなどが生じます。
まぁこのような現象は、筋膜のせいなのか?怪我後に代償的に足首を使いすぎたり、姿勢が悪くなったりするせいでもありますが・・・・。
しかし、肩の痛みに対して膝を治療してよくなるのであれば、膝の影響で肩が上がらなかったと言ってもいいと思います。


このように、全身的に筋膜が影響している、筋膜によりバランスを取っているという構造を「テンセグリティ構造」と言います。
テンセグリティというと、以前書いた「ロルフィング」の人たちがベースにしている考え方です。

実際に、対面して治療していると、全身のネットワークというものを強く感じるようになります。また、それを感じれる人・感じれない人がいますが、感じれる人の方が治療効果も高く、今後の再発のリスクも低くなります。


「自分の身体のこと」を知ることは、

身体の使い方を学ぶことだけでなく、

現在の自分の身体の状況を感じ、組織の損傷を未然に防いだり、

心−身体のバランスをとることも可能にします。

「自分の身体を知るための授業」

が、小中学校から「教科」として教育されていけば、
医療費の削減だけでなく、スポーツ分野での活躍も期待できるようになると思うのですが・・・

筋膜って??

最近なにかと話題の筋膜
ですが、かなり昔から治療家の間では治療ターゲットとされていました。

特に、「ロルフィング」という主義ではず〜〜〜〜〜っと

「筋膜を整えます」
「筋膜の歪み・硬結が多部位に影響を与えています」

と言っていたのですが、「ロルフィング」・・・知っている人は少ない・・・
コマーシャル下手なのか、わざとそれほどアピールしないのか・・・


まぁそれはそれとして、
「筋膜」というと色々な説明がされますが、
広義では

「結合組織全体を含むネットワーク」のことを言います。私もこの考えです。

人間には4つの細胞に分化されます

  • 上皮細胞
  • 結合組織細胞
  • 筋細胞
  • 神経細胞

それぞれが機能特化しており、結合組織細胞は

  • コラーゲン
  • エラスチン
  • レクリチン(未熟なコラーゲン)

そして

  • 細胞外マトリックス

となります。

わかりづらいのを承知で

上記のようなネットワーク(マトリックス)により、「人間」という形を型どります。その中で、無機塩・炭酸カルシウム・リン酸カルシウムで「骨」を型どります。(ここまでは結合組織によるもの)

その上に、筋細胞や上皮細胞・神経細胞を設置していくイメージです。

あくまでベースは結合組織細胞・細胞外マトリックスというわけです。


ちなみに、細胞外マトリックスは、プロテオグリカンで構成されており、

「運動と重力のストレスを分配している」

これかなり重要です。特に治療家にとっては!

身体にかかる負担をどこで支えるか?の考えが違えば治療方針も変わってきますから。


それはそれとして、

これらの理由からも「筋膜をリリースしましょう」とはかなり有用なアプローチです。
適切に、適宜筋膜の負荷を減らしていければ、「運動と重力のストレスを分配している」ものをリセットできることになります。

するとその先の骨や靭帯(結合組織でもあるが)、靭帯への負荷が減少します。
細胞外マトリックスは「可逆的」なので、負担がかかったら取ればいいい。

しかし、骨は一旦変形してしまうと「不可逆的」なので、修正はできなくなります。


適切に、適宜、筋膜リリースを行うようにしましょう。

 

マイクロフラクチャー手術後のリハビリテーション

膝の「マイクロフラクチャー手術後のリハビリテーション」は一般的な膝の手術後のそれとは大きく異なります。

なぜか・・・

軟骨部にドリルで多数の穴を開ける作業をしているためです。

そのため、術後は関節への荷重をゆっくりと、かつ控えめに導入していく必要があります。この手術自体が新しい方式のため、まだまだ先行研究が少ないのが現状です。


まずは、組織の再生過程を知ることが重要です。一般的に

  • 増殖期(術後1〜4週)
  • 変遷期(術後4〜12週)
  • リモデリング期(術後12〜24週)
  • 成熟期(術後24〜70週)

となります。

組織再生の各段階の長さは、損傷部位の大きさや個人の治癒過程によって異なりますが、上記の再生過程を参考に行なっていきます。


増殖期

ポイントは2つ

  • 適切な膝関節が動く範囲を再獲得し、筋肉による膝のコントロールを再学習すること
  • 修復部位に栄養を送り込み、組織の治癒を促す

そのために、膝周囲に生じている「腫脹」や「浮腫」をできるだけ早期に除去する必要があります。膝蓋骨の動きの改善(膝蓋大腿関節も手術している場合は、膝蓋骨の動きは慎重に行う)や、周囲の循環改善、癒着の除去がメインになります。また、体重負荷も徐々に行います。

膝以外の部位では、患部に体重をかけて使うことがなくなるため、「足」「股関節」「体幹」の機能低下や変な癖がついてしまいやすいです。そのため、「足」「股関節」「体幹」に対してトレーニングを行い、周囲関節の廃用予防、全身・周囲関節から膝への循環改善、を図っていきます。


変遷期

ポイントは2つ

  • 荷重運動・歩行動作の再獲得
  • 膝周囲筋の協調的な働きを再獲得

「増殖期」にどれだけ意識してトレーニングしても、「膝周囲の腫脹・浮腫による協調性の低下」や、「荷重して歩行していなかったための感覚低下」が生じます。特に、膝関節周囲の固有感覚を取り戻せるように、神経−筋の再教育をしていきます。特に、固有感覚は膝のズレを感知したり、バランスをとったりするために非常に重要です。この感覚が取り戻せないまま、負荷量を高めていくとサイド膝を痛めてしまう可能性があります。「早く治さなきゃ」と焦らず、無理な負荷量をかけないようにしましょう。


リモデリング期

この時期のポイントは
「新しいコラーゲン線維が再構築され、強度と耐久性が向上する時期」
ということです。

変遷期からのプログラムに負荷量の増加や、スプリント・ダッシュストップ・方向転換などを加え、徐々に競技復帰段階へと移行していきます。


「成熟期」

競技復帰への本格的な負荷を加えていきます。

  • 術側・非術側との左右差
  • 周囲関節とのバランス
  • 筋肉の反応
  • 変な癖がついていないか
  • 本人に違和感がないか

などを見ていきます。

膝への負担から逃げる人

だけでなく、

膝を過剰に使おうとしてしまう人も多いので注意が必要です。

マイクロフラクチャー手術

「マイクロフラクチャー手術」とは

1980年代に「骨髄刺激法」として紹介された術式。特にアメリカで多いようで、軟骨損傷が認められた患者15万〜20万のうち、約6万人がマイクロフラクチャー手術を受けるようです。


「利点」

単純で比較的安価な一期的手術。何と言っても、他からの移植の必要がないのがいい。その場で線維軟骨を作り、移植提供部位に障害を起こすリスクがない


「方法」

まずは損傷した関節面を除去、きれいにします。そして、小型のドリルで緻密骨に微小な穴(この行為がマイクロフラクチャーといわれる所以)を開ける。穴を開けることにより、間葉系幹細胞、成長因子及び治療作用のあるたんぱく質を含んだ骨髄が損傷部位に漏れ出して血餅を形成。その後、主にⅠ型コラーゲンからなる線維軟骨組織がその部位に再構築される。


*問題点

作られる「線維軟骨」は硝子軟骨に比べて剛性が高い。そのため、剪断力や圧縮力の機械的ストレスに耐える能力は硝子軟骨より劣る。そのため、新たに形成された組織の損傷を引き起こす恐れがある。


そもそも
「関節軟骨」とは

硝子軟骨が関節軟骨を構成し、滑膜関節の関節面に存在する。極めて強靭で柔軟性に富む結合組織。成分は、軟骨細胞、プロテオグリカン、水分、Ⅱ型コラーゲン線維などである。
代謝的に、軟骨は比較的不活発であり、成長が非常に遅い。また、血管がないため、軟骨の治癒と修復には、そのための物質が受傷部位まで拡散、または移動しなくてはならない。

子供のトレーニング

子供に運動を指導、子供のトレーニングを行う上で注意していく点が、
LTAD(long term athletic development)モデルということで提唱されている。

若年アスリートがトレーニングを実施し、競技に参加しながらも傷害を予防する。
運動の楽しさを保ち、オーバートレーニングやバーンアウトを防ぐために役立つ7つのモデルが提唱されている。


ステージ1:アクティブスタート (0〜6歳の男女)

  • 他の子供との運動を含め、1日あたり60分の運動を継続する

適切なムーブメントスキルを教える (走る・飛ぶ・探検する)


ステージ2:ファンダメンタルズ (男子6〜9歳 女子6〜8歳)

  • 身体リテラシーに焦点を当てた構造的でない運動に参加
  • 学校での体育クラスを奨励

ランニング、ジャンプ、キックなどを含む複数のスポーツや、バランスやコーディネーション、スピードに挑戦するような運動に焦点を当てる
*この段階で体操や水泳を組み込むことができる


ステージ3:トレーニングすることを学ぶ(男子9〜12歳 女子8〜11歳)

  • 低〜中程度の構造的運動、技術的能力に焦点を当てる
  • 複数のスポーツ(3つ以上)の実施を継続し、非構造的な運動も行う
  • 適切な自体重トレーニングを行う
  • 練習時間と試合の時間のバランスをとる

ステージ4:トレーニングのためのトレーニング
(男子12〜16歳 女子11〜15歳)

  • 技術スキルに重点を置き、その次にパフォーマンス結果に焦点を当てた中程度の構造的運動
  • 有酸素系トレーニングが少しずつ重要になってくるが、焦点はまだスキルやスピードそして筋力
  • スポーツを2つくらいに絞っても良い

ステージ5:競技のためのトレーニング
(男子16〜23歳 女子15〜21歳)

  • パフォーマンスに焦点を当て、高度に構造化された活動に参加する
  • 1つのスポーツを専門とする
  • 適切な漸進と休息を伴った高いレベルでのトレーニングを年間を通して開始
  • 強みの強化、弱点の克服

ステージ6:勝利のためのトレーニング(男子19歳以上 女子18歳以上)

  • 最高レベルで競技する可能性がある
  • 優秀なコーチと一緒に練習
  • 適切なトレーニング内容、回復、テーパリング、ピーキングを完璧なタイミングで

ステージ7:障害にわたる運動(全ての年齢)

  • 生涯にわたって、身体活動の参加
  • 身近なアクティビティに参加
  • あまり強度の高くないレクリエーション
  • フィットネスやスポーツのボランティアとしてのコーチ

*要するに、競技・趣味としてのスポーツを続けていくためには、それぞれの発達段階、年齢で適切な刺激・無理のない負荷を加えていく必要があるということですね。

特にまだ年齢が小さい頃は、基礎的な動作のクオリティを高めるため、またバーンアウトなどを予防するためにも2種類以上の運動を行う。年齢が高まっていくとともに、競技特性に対するパフォーマンスを向上させ、競技スキルを高めていく。

生涯スポーツと言いますが、スポーツは色々な面での向上・勉強となるので、続けていきましょう